星景写真(天の川・星空)の撮影方法について(レンズ編)

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新潟県三条市 大谷ダム ペルセウス流星群

星景写真を撮影するときに使うレンズの種類

単焦点レンズ

写りが良く明るいレンズが多く、プロや星景写真家が星景写真を撮影する場合は基本的に単焦点レンズを使用しています。
同一焦点距離のズームレンズと比べると軽く小さい持ち運びもしやすいため撮影中の移動も楽になります。

星景写真だけを撮影する場合はAF(オートフォーカス)やMF(マニュアルフォーカス)レンズは問わず。なるべく明るいレンズを選びましょう。

ズームレンズ

単焦点レンズと比べるとF値が大きく星景写真では暗くなりがちですが、条件さえ揃えば星景写真を撮影することができます。
星景写真で使うズームレンズはF2.8やF3.5等の明るいレンズで、超広角~標準域(35mm換算14~35mm)のレンズを使うことが多いです。
35mm換算50mm以上のレンズになると天の川を捉えることが難しいため、星が流れるようなコンポジット撮影などの特殊な撮影を行わない限り基本的に星景写真で使う機会は少なくなります。

また、ズームレンズは単焦点レンズと比べてしまうとレンズの明るさの指標であるF値が足りずに暗くなりがちなので、ISO感度を高く設定する必要が出てくるためノイズが目立ったり画質が悪くなりがちです。
星景写真を本格的にキレイに撮りたい方は明るい単焦点レンズにステップアップをオススメします。
星景撮影用の単焦点レンズは高価ですのでズームレンズで自分の好みの画角を見つけておくことをおすすめします。

超広角ズームレンズ

星景写真の撮影で基本となる画角をカバーした超広角ズームレンズは非常に使いまわしやすく星景写真で人気のレンズとなります。
長時間シャッターを開いていても星空の点像が維持できるためF2.8~F4ほどの明るさのレンズであればISO感度をあまり上げずに比較的きれいに星景撮影ができます。

標準ズームレンズ

標準ズームは24~35mmほどの焦点距離まで星景写真で使用することが多く、天の川や星座などをダイナミックに撮影することができます。
35mm以上の焦点距離になると天の川や星座を画角内に収めたり、長時間露光での星の点像を維持するのが難しくなってきます。
逆にコンポジット撮影のように星が流れた星景写真を撮るときは35mm以上だと撮影しやすくなるというメリットもあります。

望遠ズームレンズ

焦点距離が大きいほど長時間露光で点像を維持するのが難しくなるため、星景写真の撮影で望遠ズームを使用するシーンは少ないですが、星の軌跡を撮影するような星空と景色を撮影する際に活躍することがあります。

星景写真におすすめのレンズの焦点距離

どんな星景写真を撮りたいかによって、おすすめのレンズの焦点距離が変わってきます。
基本となるのは魚眼レンズや超広角レンズが基本となり、35mmまでの焦点距離を使うことが多いです。
50mm以上の標準レンズになると星景写真では扱いにくくなってきます。

天の川を全体的に撮りたいなら魚眼レンズ(フィッシュアイレンズ)
天の川を広く歪みを少なく撮りたいなら10~18mmほどの超広角レンズ
天の川や星座と景色をバランス良く撮りたいなら18~24mmほどの超広角レンズ
天の川や星座を景色を大きくダイナミックに撮りたいなら24~35mmほどのレンズがオススメです。
35mm以上のレンズは星景写真に星景を撮るのには条件が厳しくなかなか難しいレンズですが、条件が揃うことで天の川や星座をダイナミックに撮影できます。

円周魚眼レンズ(全周魚眼レンズ)

円周魚眼レンズは水平線垂直線上に180度以上の球体状の写真が撮れますが特殊なレンズなので星景写真撮影の上級者向けです。

星が小さくなりすぎるため星景写真での主な被写体は天の川となるでしょう。周辺の環境をすべて写してしまうためロケーションの選定が重要になりますが、上手くハマった場合は惑星のような球体に収まる印象深い天の川が撮影できます。
タイムラプス動画などで円周魚眼レンズを使うとインパクトのある動画が撮れるなど使い方の考察が必要となります。

対角線魚眼レンズ

olympus 8mm f1.8 fisheye 星景写真

対角線上に180度の写真が撮れるため、超広角レンズより広く撮影することが可能になるため天の川の全体像を撮るのにおすすめのレンズです。
フィッシュアイレンズ特有の強い歪みを活かした星景写真を撮ることができたり、カメラの水準器機能を使って縦横水平に撮影することで超広角レンズのように歪みが少ない撮影が可能になります。

魚眼レンズはレンズが飛び出ており物理的な理由で一般的な円形フィルターを取り付けられないため基本的にはソフトフィルターは使えません

メリット
・歪みを活かした撮影ができる
・対角線上に180度写る幅広い画角

デメリット
・フィルターが付けられない

超広角レンズ

魚眼レンズとともに星景写真を撮影する上でメインとなる人気の焦点距離。

超広角レンズは1mmの違いで写る範囲も大きく変わるため、35mm換算14mmのレンズと35mm換算18mmのレンズでは印象が大きく違い使い勝手も異なります。
超広角レンズの中で星景写真で撮影でよく使われるのは14mm~21mm前後のレンズが人気です。
フィルターが取り付けられるレンズも多く存在するためソフトフィルターを駆使した撮影が可能になります。
また、レンズの先端が出目金のように飛び出ているレンズでも角型フィルターを使うことでフィルターの装着ができる場合があります。

35mm換算14mm 前後

天の川のアーチパノラマ合成撮影
天の川のアーチパノラマ合成撮影

 非常に幅広く映り天の川を捉えられる星景撮影するカメラマンに人気の焦点距離です。

星景写真で良く使われる撮影技法「500ルール※」でも、最大約35秒間の長時間露光でも点光源を維持することができます。
14mm前後の超広角レンズは幅広く撮っておいて、不要な部分を後からトリミングを行って除去するなど色々と応用が効くというメリットもあります。

デメリットがあるとしたら写真の四隅が中央部分と比べ解像度が低いレンズが多いため、四隅のトリミングはあまり向かないというぐらいです。

星景撮影用に最初に一本単焦点レンズを買うなら14mm~18mm前後のレンズが使い勝手が良いです。

※500ルールとは
500 / レンズの焦点距離 = 星が流れず点で維持できる秒数の目安
(14mmの焦点距離のレンズの場合)
500 / 14 = 約35秒のシャッタースピードまで点光源を維持できる。

メリット
・星座や天の川を広く写せる画角
・最大約35秒間の長時間露光で点光源を維持することができます。

デメリット
・小さな星が写りにくい場合がある。
・画角が広いため写したくないところまで写ってしまう。(トリミングを駆使することで解消されます。)

35mm換算 18~21mm 前後

個人的におすすめの星景写真撮影に焦点距離は20mm、21mmです。
21mm前後の焦点距離は各社明るい単焦点レンズが揃っており星景撮影の時に天の川の美味しいところを撮りつつ、風景をダイナミックに画角に収める事ができるため星空と景色のバランスの良い構図の写真が撮れます。

広角レンズ(24mm~35mm)

35mm換算 24mm 前後

各社の標準ズームレンズで24mmに対応している事が多く馴染みのある焦点距離となり、星景写真でも風景撮影にも使える万能さが人気ですが、星景写真メインで撮影される場合はもう少し広ければ使いやすいと感じることがあります。
F2.8やF3.5のF値があれば星景撮影でも利用可能ですので、星景写真を始めたいという方で標準ズームレンズをお持ちの方はまずこちらのレンズで挑戦してみましょう。

35mm換算 28mm 前後

35mmの焦点距離のレンズは星景写真では狭く使いづらいレンズの部類に入りますが、上手く星景を捉えたときのダイナミックさ素晴らしいものがあります。
35mmのレンズは先述の通り画角が狭くいため、星を点で撮るためにシャッタースピードを約13~14秒以内撮影しなければ星景写真を撮影する場合はF1.8以上に明るいレンズを使用されることをおすすめします。

35mm換算 35mm 前後

35mmの焦点距離のレンズは星景写真では狭く使いづらいレンズの部類に入りますが、上手く星景を捉えたときのダイナミックさ素晴らしいものがあります。
35mmのレンズは先述の通り画角が狭くいため、星を点で撮るためにシャッタースピードを約13~14秒以内撮影しなければ星景写真を撮影する場合はF1.8以上に明るいレンズを使用されることをおすすめします。
星座や天の川が水平線近くにあるときにはインパクトのある星景写真を撮ることができます。

標準レンズ(50mm前後)

標準レンズでは天の川を撮影するには画角が狭く全体像が捉えられないとともに、星座と景色を一緒に撮影することも画角的に難しくなってきます。
また画角が狭い分、長時間露光で星が動きやすいので星を点像で収めるためにISO感度をより高くする必要も出てくるため星景写真にあまり撮影には向きません。
星の動き安さを逆手に取りコンポジット撮影などを駆使した星の軌跡を撮影する際に活躍する場合があります。

中望遠レンズ(70mm以上)

中望遠レンズ以上になると画角の狭さから星座と景色を一緒に撮ることが困難になるため星景写真には基本的に向いていません。
星景写真ではありませんが、赤道儀などと組み合わせて星座のみや天体を撮影する際に使用します。

レンズの明るさ

星景撮影をする際に重要となるのがレンズの明るさ(F値)です。
レンズ明るければ明るいほどISO感度を上げず済むためノイズを抑えたきれいな星景撮影が可能となります。
もちろん環境さえ良ければF3.5ほどのキットレンズでも撮影できますが、星景撮影を趣味にしたい場合は超広角レンズでF3.5より明るいレンズ、広角~標準レンズではF2.0より明るいレンズを選ぶことをおすすめします。

500ルールを覚えておくと便利!

星景写真撮影を行う上でシャッタースピードの目安となる「500ルール」を頭の片隅に入れておきましょう。

「500秒ルール」は星が流れずに点光源で撮れる目安となります。
500秒ルールから過ぎた場合は星が点ではなく線のように見えてきます。

(500ルール例)
35mm換算 14mmのレンズの場合の点像限界シャッタースピード
500 / 14mm = 35秒

35mm換算 18mmのレンズの場合の点像限界シャッタースピード
500 / 18mm = 28秒

35mm換算 21mmのレンズの場合の点像限界シャッタースピード
500 / 21mm = 23秒

35mm換算 24mmのレンズの場合の点像限界シャッタースピード
500 / 24mm = 20秒

35mm換算 35mmのレンズの場合の点像限界シャッタースピード
500 / 35mm = 14秒

※500ルールは点像が維持できる目安です。等倍でみるとわずかに星が流れていることもあるため完全な点像の指標でないことをご注意ください。

今回は一番かんたんな指標である500ルールをお伝え致しましたが、より正確な400秒ルールや、更に正確なNPFルールというものもあります。

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