星景写真(天の川・星空)の撮影方法について(ロケーション編)

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新潟県三条市 大谷ダム ペルセウス流星群

星景写真とは

まず最初に星景写真についてお話いたします。
星景写真とは星空や天の川と風景を一緒に撮った写真の事を言います。
近年スマホのカメラ性能が急激に発達してきましたが、星景写真に関して言うとまだスマホで綺麗に撮ることが難しいため一般的には一眼レフカメラやミラーレスカメラ等のデジタルカメラで撮影することが多い分野です。

今回は星景写真を撮る上で一番重要な撮影環境(ロケーション)についてお話いたします。

星景写真撮影に最適な撮影環境を知ろう

星景撮影を行う上で一番重要な要素が撮影環境(ロケーション)です。

星景写真には高価な機材が必要とよく言われますが、どんなに高価な機材を揃えたところで星景撮影に適した条件下でなければ、天の川等の星景写真は綺麗に撮影できません。
逆に言えば星景撮影に適した環境であれば、カメラを買ったときにセットで付いてきたキットレンズのような安価な機材でも綺麗に星空を撮影することもできるのです。

満天の星空や天の川を撮りたい方は、撮り方より先に天の川や星景撮影に適した撮影環境を理解するところから始めてみましょう。

光害が少ない場所

光害という言葉は聞いたことありますか?
文字通り害となる光のことですが、星景写真を撮る上で欠かせない要素となってきます。
光害には「街明かり」や「車のライト」などの人工的な光の他に「月明かり」が挙げられます。

光害の例

上記の写真は写真の右側に縦に伸びる天の川があるのですが、奥に街明かりがあるため天の川が光害の影響でうっすらとしか見えておりません。

ドラマチックな「月と満天の星空」の写真を撮りたい!と思っても、残念なことに月の光が邪魔をして天の川や星が上手く写すことはできません。
数キロ離れた街明かりや、周囲の街頭ですら空気中の水蒸気を照らして光害となり得るため、星空を撮影をしたい場合は街明かりが届かない人里離れた場所や家の光が少なくなる深夜の時間帯が適しています。

光害の少ない場所を上げるとしたら「人気の少ない田舎」や「山」や「海」が挙げられます。

※天の川と満月が一緒に写っているドラマチックな写真を撮りたくて星景写真を始めようとしているので、あれば残念ながら間違いなく合成なので画像加工技術も磨く必要もあります。

新月または、月が出ていない日、条件により三日月や半月の日

前述で述べたように、月が光害となるため星空を撮影する際はよほどなことがない限り月が出ていない日を選ぶのが無難です。
月の出ていない日の選び方は「月齢」や「月の入り」の時刻を調べると大方の目安となります。

ただ、街明かりや月明かりが何もない場所での撮影は前景が暗くなりすぎて写らない場合があります。
撮影対象の反対側の方角に三日月や半月に月が出ていれば、前景を月明かりが照らしてくれ星座や天の川と前景を含めてキレイに撮影できる場合もあります。
満月などで月明かりが強い場合や、撮影したい方角に月が出ている場合は月明かりが光害となってしまいまともに撮影できません。

標高の高い場所

標高が高い場所は、大気中の水蒸気やチリなどが少なく空気が澄んでおり公害の光害も受けにくいため星景撮影に適した環境です。
その分、人気も少ないため何かトラブルがあってもすぐに対処できないため初心者にはおすすめできません。

晴天(快晴)かつ霧やモヤがない日

天候は星景撮影で最も重視したいのポイントの一つです。
もちろんのことながら雲が多く出ている日は星景撮影時に邪魔になるため星景撮影には向きません。
多少の雲程度なら味になる場合もありますが、長時間露光で雲が流れて天の川や星座が隠れてしまうことが多いです。

また、霧やモヤがあっても撮影が難しくなり山間部での撮影は天気が変わりやすいため注意が必要です。

晴天でなければ星景写真が撮影できないということはありませんが極力晴れた日を狙いましょう。

星景写真に適した時期・時間帯・方角について

星景撮影でよく被写体となる星座や天の川は一年中見えますが、春・夏・秋・冬と季節によって見え方や方角、見やすい時間帯が変わってきます。

天の川撮影の時期について

天の川は年中見えますが、時期や季節によって見え方や見える角度が異なります。

4~5月頃 天の川のアーチの狙い時

銀河鉄道の夜
© monacamera.com

天の川の一番明るい部分が見えるようになりはじめ、夜間の天の川は横方向に大きくアーチを描きます。
天の川のアーチを撮影する際はこの時期を狙うと一番綺麗に撮影できます。

6月中旬~8月中旬 縦に大きく現れる天の川

ペルセウス座流星群
© monacamera.com

「光害」「天候」「時間」「新月や月の入り」の条件が揃えば天の川を肉眼ではっきりと見ることができます。
特に天の川が見えやすい時期となり天の川が見やすい時間帯の目安を言うと

  • 6月中旬は01時以降
  • 7月中旬は23時前後
  • 8月中旬は21時前後

深夜帯の光害が無い時間帯が一番見やすくなりますが、
残念なことに日本では梅雨時期とかぶるため6月、7月は梅雨のない北海道以外ではあまり見ることができません。

10月以降 天の川は撮れるけど天の川が暗め

10月の天の川のアーチ
© monacamera.com

天の川自体は上の写真のように見ることはできますが、一番明るい部分が水平線の下にあるため撮影環境が良くても自然と天の川が見えにくくなってきます。また、天の川の大半が暗いため上の写真のように街明かりに近づくにつれ、すぐに見えなくなります。
この時期になると天の川ではなく冬の星座などが撮影対象とされることも多くなってきます。

星景撮影・天体観測の理想的な環境を見つける方法

理想を言うと、標高の高い場所、月が見えず雲もない晴天の夜空。大気中のモヤ(水蒸気)・霧が少ない人が寝静まった深夜が星景写真の撮影に最も適した条件となります。
ここまでの好条件が揃うと光害の少ない環境に行けば肉眼でも満天の星空を拝められるとともに、時期と時間帯によっては天の川を肉眼でくっきりと見ることもできます。
そんな日は一年に何度もない星景撮影に最高の日です。

準備・知識も無しに上記の条件を揃えた撮影環境に遭遇することは非常に困難となりますが、これから紹介するツールを使えば最高の環境を簡単に見つける事ができます。

私が実際に星景写真を撮る際に実際に使うツールです。撮影地探しの心強い味方となるでしょう。

星景撮影のロケーション確認に便利なツール(WEBサイト版)

ロケーション探しの必須ツール「Google Map」

皆様、御存知のGoogle Mapは星景撮影のロケーション探しに非常に有効です。
わざわざ足を運ばなくても、スマホやパソコンの画面上で方位を確認しながら星景撮影のスポットを探すことができます。
気になる場所が見つかったらGoogleストリートビューで詳細も確認できるため非常に便利です。

ロケーション探し方のコツですが、自分の撮影したい星座や星空が出る方角の向きに星空と一緒に撮影する前景を探すといいでしょう。
私の場合は天の川を撮影することが多いので、南向きの方角で前景になる場所がないか探すことが多く、星景写真の前景にしたい場所が見つけたら、その時期の天の川や星座出る方角と重なるかどうか確認し撮影する方法をとっています。

天の川の方角や時間帯に関しては後述の「Star walk2」というアプリを使うことをオススメします。

星空指数 (tenki.jp)

気象予報の老舗のtenki.jpが運営する星景撮影の目安として非常に有用なサイトです。
私の場合ですが、星景撮影をする日は日中の天気を確認しながら夕方まで晴天だった場合に、このサイトの星空指数を見て撮影に行くか判断します。

星空指数だけでは過度な期待は大体80以上であればある程度、星景撮影が可能な場合が多いですが
星空指数の数値だけでは実際の撮影地に訪れた際に、月が出ていたり、雨雲が出てきたりと確実性にかけるため
下記のツール郡と併用して利用しています。

https://tenki.jp/indexes/starry_sky/

日の入り月の入り (国立天文台 天文情報センター 暦計算室)

月の入りや日の出がわかるサイトです。
私は上記の星空指数のサイトをまず確認したあとに、
撮影予定地・撮影予定時刻で月が出ているのかをひと目で確認する際に重宝しています。
新月の日でなくとも、月の入りの時刻内であれば新月と同じように撮影ができます。

https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/

雨雲レーダー (tenki.jp)

気象予報の老舗のtenki.jpが運営する数時間おきの雨雲の様子(予測)を確認できるサイトです。
家から出て山沿いの撮影地まで向かう間に雨雲が出る場合があるため、念のために確認します。
あくまで雨雲の予測でしかないため、薄い雲や霧などの確認はできませんので目安程度にお考えください。

https://tenki.jp/radar/rainmesh.html

撮影地の雲の情報 (SCW)

SCWは全国の気象情報をスーパーコンピューターで予測してくれます。
有料版になるとより詳細な予測機能の「局地」を使えますが、
無料版でも「詳細」という機能で雲の動きや雲の量を把握できます。

天の川の撮影地に向かう前に一度確認すると無駄な移動時間や出費を抑える事ができるかもしれません。
もちろん、あくまで予測なので当たることもあれば外れることもあります。

https://supercweather.com/

光害マップ(海外サイト)

初めての撮影予定地の光害状況・光害方角を確認するのに非常に便利なサイトです。
都市型の街明かりが見える方角は光害で星がまともに見えず撮影も困難になるため、それらの光害を避けた撮影に有用です。

https://www.lightpollutionmap.info/

星景撮影のロケーション確認に便利なツール(スマホアプリ版)

Star walk 2 (無料版)

天の川や星座の位置や時間帯による方角・位置を確認しながら撮影することができる超便利なツールです。
星撮りには必須と言っても過言ではないほど有能なツールです。

プロのカメラマンや星景写真家でも使われている方が多いのではないでしょうか。
有料版にすることで広告無しで利用できます。
※安くて良く使うツールなので私は有料版で利用しています。

シンプル月齢ウィジェット

ひっそりとホーム画面においておくだけで、毎日新月の日を簡単に確認することができます。
新月を狙ったり三日月や半月の薄明かりの中、星撮りをしたい方にはオススメのアプリです。

最後に

今回ご紹介した撮影環境(ロケーション)は星景写真を撮影するにあたり一番重要な要素となります。
今回の内容は星景写真だけではなく、天体観測、天体撮影にも応用できるロケーション確認方法の一つとなります。

事前に確認をしていても撮影地に出向く最中に目的地の天候が変わったり霧や雲が出てくる良くあることなので、
最高の環境を100%の確率で把握することは不可能ですが「星景撮影・天体観測の理想的な環境を見つける方法」を行っていただくことで、無駄な移動費や時間を節約することができます。ぜひ実践してみてください。

星景写真を撮影する場合は日頃から月の情報や天気情報のアンテナを張っておきましょう!

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